消しゴムを触ると大問題
「触らないでって言ってるのに!」
またそんな女子の怒鳴り声が聞こえます。
男子は怒鳴る女子をおもしろがり、さらにからかっています。
関係ないはずの女子も加わり、
「○○君が○○ちゃんの消しゴムを触ったんだって!」
「うそー!?」
「最低!」
「かわいそう…」
と口々に言い始めます。
小学校高学年の頃、
うかつに友達の消しゴムを触ることができませんでした。
消しゴムに好きな人の名前を書いて、
誰にも触られずに使い切ると両思いになれる。
そんなおまじないが、
恋に目覚め始めた女子の心をつかんで離さなかったのです。
恋をする女子は真剣です。
ちょっと貸してねと言って触った消しゴムに、
おまじないがかけられていようものなら…。
その後に何を言われるのか、どんな事態が起こるのか、
想像するだけで恐ろしいものでした。
そんなおまじないを信じない男子は、
女子の消しゴムを触ることを遊びの一つにしていたようです。
女子は自分の恋を実らせたいがために、
消しゴムを触られまいと必死。
消しゴムをポケットに入れ、
どこに行くにも持ち歩いている子も少なくありませんでした。
ポケットに入れているのを忘れ、
お母さんにそのまま洗濯されてしまったと
泣く泣く話す子もいました。
消しカスをはらう手が消しゴムを飛ばしてしまい、
遠くに転がす友達もいました。
それを拾い上げて机まで持ってきてくれた親切に、
お礼を言う顔が引きつっていました。
好きな人なんていないと言って、
消しゴムにおまじないをかけていることを
周りに隠している子もいました。
消しゴムを忘れた子は、
おまじないをかけていないならいいだろうと、
悪気もなくその子に消しゴムを借りようとします。
「私が消してあげる」そう言って、
せっせと友達のノートの文字を消す子の姿を思い出します。